平均勝率6.78のプライド

ボートレースでは、レーサーごとに公開される勝率がすなわちレーサーの強さの証明となる。最高クラス、A1級レーサーの平均勝率は6.78。その数字にはレーサーの積み重ねてきた勝負の歴史がにじむ。

驚異の勝率「8.74」

ボートレースは1着から6着までに着順点が付与され、この着順点を出走回数で割ることで、勝率を導き出す。一般戦で付与される着順点は、1着10点、2着8点、以下6、4、2、1点。年9回ほどあるSG戦では着順点が各2点ずつアップし、GⅠ・GⅡ戦では各1点アップ、勝ち残った者で競う優勝戦ではさらに1点が追加される。一般戦はもちろん、ハイグレードのレースでも高い着順点を得なければ、勝率を維持できない仕組みになっている。

勝率が高ければ高いほど強いレーサーということになるが、一度でも大敗を喫すると大きく数字を落としてしまう。薄氷の上を歩くような厳しい世界の中で目覚ましい活躍を見せるレーサーがいる。

峰竜太選手

ボートレーサーの中でも指折りのスターレーサー、峰竜太だ。2019年の年間勝率は8.74という驚異の数値を記録し、5年連続年間最高勝率という前人未到の記録を成し遂げている。

峰選手は2004年に19歳でプロデビューし、翌年には一般戦で初優勝を飾っている。早いうちから頭角を見せつけていた峰選手はその後、SG戦クラスのレースを数多く経験し、2018年には優勝賞金1億円(※2018年当時)を誇る「SG グランプリ」を制し賞金王の座に君臨した。同年には年間優秀レーサーにも輝いている。いかなるレースでも常に勝利をもぎ取る彼の強さはどこにあるのだろうか。

「常にナンバーワンを取り続けるという厳しい条件を自らに課すことが、自分を強くする秘訣だと思います。たとえ優勝戦に出られなくてもレースは続いていく。だからどんなレースでも気は抜けないし、一瞬一瞬に全力を注いでいます。ファンの方に喜んでもらえるよう、レースが始まったら1着獲ることしか考えていません」

峰選手が高い勝率を叩き出す原動力は、ボートレースへ真っ直ぐに向き合う誠実さだろう。勝利への執念と、ファンへの強い気持ちが峰選手をより高みへと駆り立てる。

付いた愛称は“泣き虫王子”

SGボートレースオールスターは、ファン投票によって出場レーサーが決まる。まさにスターたちの祭典とも言えるレースだ。峰選手はそのファン投票において2017年から2019年まで3年連続の得票数1位を獲得している。

そんな峰選手は、屈託のない笑顔からも伝わる素直な人柄がファンから愛されている。勝った時も負けた時も「涙」を流すことが多かったため、付いた愛称が”泣き虫王子”。感情を隠さないオープンな立ち振舞いに惹かれるファンも多い。

峰竜太選手

「勝負に敗れた悔し涙も、勝ってファンに顔向けする嬉し涙も同じくらい流してきました。どの涙も僕にはとても印象深いです。感情を隠さず、常にオープンなスタンスなので嬉しいときも悔しいときも全面に出しています」

「自分自身ボートレースが大好きなので、SNSで自ら魅力を発信しています。こうしてオン・オフ含めてオープンにするのは僕にしかできないと思っていますし、僕を通じてボートレースを知って、ボートレースのことを好きになってくれる人が増えたら嬉しいですね」

辞めるまで勝率1位を取り続ける

ファンの期待に応え、勝ち続ける。言葉にすれば簡単だが、それを実行することは容易ではない。そんな彼だからこそ、ファンは期待し、応援する。その「強さ」は自らを律し、ファンに熱い思いで応え続けてきた結果なのだろう。

峰竜太選手

「年間勝率の連続トップという記録を守る気持ちではなく、常にチャレンジャーとして挑戦する気持ちを忘れないようにしています。僕の性格上、大きなことに挑戦するときほど、「大舞台だからこそやってやる!」って気持ちが昂るんです。5年連続で年間勝率トップという記録はこれまで実直に勝負に挑んできた結果ですし、ファンの皆さんのためにもボートレースを辞めるまで勝率1位を取り続けたいですね」

熱い声援を胸に、水上のプリンスはこれからもファンに夢を与え続けてくれるはずだ。

ボートレース芸人・永島知洋に聞いた峰選手

ボートレース芸人・永島知洋

峰選手はボートレース愛にあふれ、嬉しいときも悔しいときも常にファンに寄り添っているレーサー。最近ではYouTubeチャンネルを開設し、ボートレースの魅力をレーサー自ら発信中。高い勝率から分かる通り、実力は折り紙付き。どんなときでもどんな場面でも勝負に絡みファンの期待を裏切らない。

峰竜太(みねりゅうた 1985年3月30日生)

登録番号4320 身長171cm 
95期 佐賀支部所属
勝率の高さ=ファンの声援に応えた数。絶大な信頼が、近年のオールスターファン投票トップ常連という形に現れている。

峰竜太選手