全国24場の声援

ボートレース場は全国に24カ所存在する。2019年現在までに全てのボートレース場で優勝し、24場制覇を達成した選手はわずか28名。これは、365日、季節や天気、水質やコースの違いに関係なく勝ち続けなければ得られない称号である。

24場制覇と共に100Vを達成

全国24カ所あるボートレース場だが、もちろんレース場ごとに選手を待ち受ける環境は異なる。河川や湖を利用した淡水コースや海に面した海水コース、さらには両方が入り混じった汽水コース。水質によってボートの浮きが変わってくるので、選手たちはプロペラやエンジンを調整し、常に最適のコンディションを整える。選手たちは「その瞬間」のコースを掴みながら、自分たちの最高の走りで勝負しなければならないのだ。

令和元年がアニバーサリーイヤーになった男がいる。1994年に滋賀支部よりデビューし「天才」と呼ばれる守田俊介選手だ。8月にボートレーサーの森田太陽選手と結婚し、9月には史上28人目となる24場制覇と合わせて通算100回目の優勝を達成。さらに10月には、ボートレース史上127人目となる通算2000勝を獲得した。

24場制覇という結果はレース場とその日のコンディションを読んだ緻密な計算の上で成し得たものであることは想像に難くないが、守田選手は「たまたま」だと、事もなげに結果を振り返る。

守田俊介選手

「24場制覇と100Vは、一生懸命やってきたら付いてきた結果だと思います。別に気合いを入れたところで急に勝てるようにはならないし、僕は毎回のレースでしっかり手を抜かずに走ってきました。そうしたらいつの間にか勝ちが積み重なっていただけで、本当にたまたまなんです。でも、その2つを同時に成し遂げたのは、自分でも「持ってるな」と思っちゃいましたね」

その24場制覇を“たまたま”で成し遂げるのが、守田選手が「天才」と言われている所以なのかもしれない。

家族のためにから、みんなのために

飄々と語る守田選手だが、運命に導かれるようにボートレースの世界へ入り込んでいる。高校時代に両親が離婚。妹弟と母親を支えるため、幼い頃から身近な公営競技だったボートレーサーの道を選んだ。他に競馬の騎手と競輪選手の選択肢も浮上したが、自分には合わないと断念。ボートレーサーの道を真剣に考え始めたまさにそのタイミングに、母親からボートレーサー養成所の訓練生募集広告を渡された。その締切りは、およそ1カ月後だった。

ボートレーサー養成所の試験は、15歳から30歳までの男女が一挙に集う、競争率約20倍の狭き門である。数度挑んでも合格することが難しいこの試験を、数カ月前までボートレーサーになる準備すらしていなかった守田少年は見事、初挑戦で突破する。

守田俊介選手

「当時は自分が頑張るしかないと腹をくくっていましたね。試験を受けたタイミングだったりその後のキャリアだったり、今になって思えばこれ以外は無いってほどの“天職”に巡り合わせてもらったと思っています。試合に勝った時なんか、ファンや身近な人が「ありがとう」「守田を応援していてよかった」と、僕以上に喜んでくれるんですよ。本当に感謝の気持ちしかないです。獲得賞金は家族に渡すこともあるんですが、みんな貧乏性で全然使わないんですよ。高級な食事の1回よりも、食べ放題に5回行きたいっていう家族で。ある意味幸せでしょ?」

神が味方する天邪鬼

2015年のSG「ボートレースダービー」で優勝した守田選手。そこで手にした優勝賞金3,500万円は、震災当時から気にかけていた東日本大震災の被災地へ全て寄付している。さらに3年後の2018年には、同じボートレースダービーで2度目のSG優勝を達成。この2度目のSG優勝は、「神様からのプレゼント」だと語る。

守田俊介選手

「寄付については、いい意味でよくあんなことできたなと。けど、やってよかったとずっと思い続けられる出来事にはなりましたね。昔は無理して勝とうとしていましたが、最近は自然体でレースに挑めるようになりました。レース前に手袋を湿らせて験を担いだり、いつも首から下げている母の形見の指輪にお願いしたりすることもあるんですが、そんな緊張を悟られたくなくて、結局ピットでもふざけちゃうんですよね」

ファンや家族の声を受け、天邪鬼の守田選手は虎視眈々と勝利を狙う。

ボートレース芸人・永島知洋に聞いた守田選手

ボートレース芸人・永島知洋

守田選手は若い頃から「天才レーサー」と呼ばれているような、感性で走る選手。自分の感情を前面に出さないので、掴みどころがないように思う人も多いが、本当は誰よりも真面目で正直だ。同じ支部の後輩達からも慕われているので、これからのレース界をさらに盛り上げてくれると期待している。

守田俊介(もりたしゅんすけ 1975年8月12日)

登録番号3721 身長171cm 
74期 滋賀支部所属
個性の集まりのボートレーサー達の中でも、ひときわユニークかつピュアな言動が話題を呼ぶ。ニックネームは「きもりやん」。

守田俊介選手