これがあるから、頑張れる。これがあるから、輝ける。 教えて!女子ボートレーサーの宝物! 平山智加選手

30歳を過ぎてやっと授かれた命なんです

2人のお子さまは、やはりかけがえのない存在ですか?

はい!本当に宝物であり、生きがいですね。子供中心の生活になり、大変なことも多いですが、2人がいるから頑張れていると日々感じています。最近、子供たちがレースのこともわかってきて、道中で抜かれるようなレースをすると叱られるし、勝てば「おめでとう!」と言ってもらえるので励みになります。家にいるのが大人だけだと、どうしても家の中は静か~な感じになりますよね。でも、子供がいると毎日が華やぎます。おじいちゃんやおばあちゃんの笑顔は増えるし、夫婦の会話も増えますね!

お子さん2人と笑顔で写る平山選手

以前から、早く子供が欲しいと望まれるタイプだったんですか?

早くから結婚願望はあったし、子供も欲しいと思ってました。縁があって結婚は早かったんですが(23歳のとき、同じ支部の福田雅一選手と結婚)、20代前半のうちは仕事を一生懸命頑張りたい気持ちが強かったんです。20代後半になってそろそろ子供が欲しいと思うようになってもなかなかできなくて……。30歳を過ぎてやっと授かれた命なんです。ウチは共働きでレース中は留守番してもらうことが増えるので、子供は2人欲しいなと思い描いていたら、年子で2人目も授かれたので理想的でした!

福田選手との結婚式の写真

子供を産むと母親は強くなる!

女子レーサーは、出産前後に1年以上レースを休むことになるので、タイミングには悩まれるものなのでしょうか?

個人的には、どのタイミングが良くて、どのタイミングが悪いというのはないと思ってるんです。若くして出産してその後に活躍される人もいますし、活躍後に出産される人もいます。子供は、欲しいからといってできるものではなく授かりものだと思うので、どういうタイミングであっても子供ができたならそれがベストのタイミングであり、正解なんだという気がします。私にしても、もし25歳とかで出産していたら、GⅠで優勝できず、SG(最高グレードのレース)にも出場できなかった気がするので、今振り返れば、いい時期に授けてもらえたと思っています。

出産のタイミングについて手振りを交えて話してくれる平山選手

1年以上のブランクのあとに復帰するのは大変ですよね。

筋力もなくなっているし、頭と体がマッチングしないというか、あのスペースにボート(艇)を持っていきたいと思っても、体が動かず、ボートが言うことを聞いてくれないんです。最初に産休から復帰したときは、練習でエンジンをかけるのも怖かったくらいでした。元のような走りに戻るまでには時間がかかるなと思っていたら、次の子ができたことで、3節だけ走って、また休むことになりましたが。

出産のタイミングや復帰時のことなどで、他のレーサーから相談を受けることはあるんですか?

それはありますね。やっぱり私みたいに、欲しいけどなかなかできないという人もいるので、私なりにアドバイスはします。復帰に関して私から言えるのは「焦らないで」ということだけですね。休んでいない他のレーサーたちは毎日のようにボートに乗っているんだから、1年以上休んでいて、その人たちと同じではないんだからって。焦らず徐々に戻していけばいいんじゃない?と。そういうアドバイスしかできないですね。

産休からの復帰後、ビックリするほどの結果を出すレーサーもいますよね。「母は強し」ということなのかなと思いますが、平山選手はどうでしたか?

やっぱり心の部分が強くなるんでしょうね。どんな動物でも同じだと思うんですけど、子供を産むと母親は、子供を守ろうとして攻撃的になるらしいんですよ。私も立て続けに2人出産して、モンスターみたいになってましたから(笑)。味方というか、旦那さんでも構わず攻撃するくらい強くなっちゃうんですよね。そういう強さがいい意味で仕事にも発揮される部分があるんだと思います。

2020年のGⅠレディースチャンピオン優勝の時の写真

子育てしているようで、逆に教育されている気もします

お子さんにはどのように育ってほしいと思いますか?

素直でまっすぐに育ってくれたらいいなと思います。

「ボートレーサーになりたい」と希望したらどうしますか?

もしそうなったら応援したいとは思います。ただ、職業って本当にさまざまなので、「いろんな道がある」ということは伝えていきたいし、そこをわかってもらったうえで将来の職業を選んでもらいたいですね。

笑顔でお子さんの将来について語ってくれた

お子さん以外に宝物は思いつきますか?

家族みんなが宝物だと思っていますが、モノとかなら、あまりないですね。「売ってください」と言われたら譲れるものばかりというか(笑)。モノに思い入れはないんです。

レーサーとして、母として、今後の目標を聞かせてください。

レーサーとしては、ケガなく事故なく、一日でも長く選手生活を送っていけることを目標にしています。もうちょっとしたらキャリア20年になるので、そうなったら30年を目指します。母としては、すべての母親の永遠のテーマなんでしょうけど、子供が立派に大きくなるまでしっかり子育てしたいな、と思っています。ただ、こちらが子育てしているようで、逆に教育されている部分もある気がしていて(笑)。子供たちに教えてもらうこともいっぱいあるんです。毎日楽しく、お互い成長していけたらいいなって思っています。

インタビューの様子をダイジェスト動画でご紹介。ぜひ、ご覧ください!

平山 智加(ひらやま・ちか 1985年7月13日生)

登録番号4387 身長156cm 98期 香川県出身 香川支部所属
2006年にデビュー。2008年、地元の丸亀で初優勝。この年、同支部69期の福田雅一選手と結婚。2013年には尼崎周年を制してGⅠ初優勝!GⅠでは通算14優出3優勝の実績を誇る女子トップレーサー。(取材実施年、2023年)年末の多摩川クイーンズクライマックスにも出場予定だ。