ボートレーサーとして、ひとりの人として、彼女たちの「決まりごと」。 女子ボートレーサーたちの“6styles” 小芦るり華選手

デビュー当初から期待の新人として話題になった小芦るり華選手。1年間レースに出られない時期を過ごすなど苦境に立たされたこともあったが、現在はA級で活躍!! そんな小芦選手の6stylesとは――。

Style1.二度とアルバイトはやらない!

1年間レースができなかったあいだは近所の回転寿司チェーン店でアルバイトをしながら、ほとんど毎日、練習に通った。“レースができない分、練習するしかない”と考えていたので正月なども休まなかった。一方でバイトをしているのは苦痛だったともいう。「自分はボートレーサーなのに……」と思わずにいられなかったからだ。

「レースに出られないのはもちろん、ボートレーサーなのにバイトをするのもツラかったですね。そのとき、二度とバイトなんてやらないと誓ったんです。わたしは生涯ボートレーサーでいたいし、それ以外の職に就くことはありません。ボートレーサーは天職だと思っているんです

Style2.過去より次のことを考える

1年間のブランクを経て復帰したときからそう思っていたという。

「周りの人からの期待は裏切りたくないけど、大きな失敗もしているので、自分にセーブをかけてバランス良くやることを心がけています。たとえばスタートタイミングは0.15くらい(ゼロ台ほど際どくないが高水準。一般的には平均0.17以下なら優秀とされる)。それ以上はないし、それ以下もない。たまにフラッシュバックのように前の失敗を思い出すこともあります。ふと思い出すと、その日に記憶を消すのは無理なんですが、過去より次のことを考えるようにして、悩んでいる場合じゃないと思うようにしています」

レース中の様子

Style3.ルーティーンをつくるより、無心でいることを心がける

自分なりのリズムをつくるためにルーティーン的なものをつくろうとしたこともあるが、いまはやめた。

「ボートに乗る前のルーティーンのようなものを持っている人もいるので、わたしもボートに乗る前に何度かジャンプをする、ということをやっていた時期はありました。でも、そういう決めごとをしていると、それを忘れてボートに乗ってしまったとき、『やばい! 忘れちゃった』と慌ててしまう。だったら、そういう決めごとはつくらず、できるだけ無心でいたほうがいいかなって思うようになったんです」

「だから、あえて決め事はしないんです」と小芦選手。

Style4.こだわる部分にはこだわり抜く

意識的にルーティーンはつくらない。そうは思っていても、やはり自分なりのやり方はできてきた。

前検日にまず、ボートのセッティングを自分好みのものにすることなどがそうですね。わたしはこだわりが強い部分とこだわりがない部分の差が激しい。ボートに関しては、とにかくまずハンドルやレバーの感触などが毎回同じようになるようにしています。同じじゃないと気持ちが悪いので、ある程度、時間をかけてでもそれをやってからプロペラ調整に移ります。そうしないとスッキリしないんです。こだわりということではないですが、レース前の控室にはあまり早くは入らないようにもしています。早く入りすぎると、いろいろ考えすぎてしまうので、集合がかかる前のちょうどいいタイミングで入って、あれこれ考えすぎないようにしてるんです。そのほうが集中しやすいからです」

プロペラ調整する小芦選手

Style5.オフには猫とバイクでリフレッシュ

オフに気持ちを切り替えるためのツートップ的な役割を果たしてくれているのが猫とバイクだ。

「家族みんなで面倒をみていて、いま家には8匹いるんです。家の中が猫カフェ状態なので、家にいるだけでも癒されます。ちょっと遊ぼうかな、というときはバイクでツーリングに行くことが増えました。西橋奈未ちゃんや北村寧々ちゃんたちと一緒に行くときもあります。各地のレースが終わったあと、レンタルでバイクを借りていろんなところに行ってます。バイクは爽快感があるし、海沿いを走るのも山を走るのもすごく楽しい! 最近、大型免許を取ったので、今度、ハーレーのスポーツスターに乗ってみるつもりです」(小芦選手、西橋選手、北村選手がバイクについて語っている「レディースインフォメーション」の動画は コチラ!

猫に癒される小芦選手
バイクでツーリング

Style6.スタートに頼らず、攻めるレースをしていきたい

A級にはなっているが、そこから成績は伸び悩んでいる。もがき続けていながらも、成績は「現状をキープするのが精いっぱい」になっているのだ。なんとかそこから抜け出したい!

「負けたレースで気になるところがあったら、繰り返しリプレイを見るようにしています。忘れっぽいので、思いついたらすぐにチェックします。成績が停滞しているのはスタートではなくターンの問題だと思っています。以前に比べて大敗は減ったけど、パンチ力がなくなった感じですかね。若いときは1着だけ目指していたのに、いまは2着や3着でもいいと考えてしまうときもある。守りに入っているところが出てきているのかもしれないので、初心を忘れず、思い切ったレースをしていきたいと思っています」

葛藤を抱えつつも、「攻めていくかは気持ち次第のはず」と爽やかに言い切った。

インタビューの様子をダイジェスト動画でご紹介。ぜひ、ご覧ください!

小芦 るり華(おあし・るりか 1997年9月9日生)

登録番号4938 身長161cm 118期 佐賀県出身 佐賀支部所属
高校時代はフェンシングで全国総体個人ベスト16などの実績を残しており、ボートレーサー養成所に合格すると、高校を中退してすぐにこの世界に入った。2016年のデビュー後、5節の平均スタートタイミングで0.10をマークして話題になったが、F3になってしまう。復帰後は順調に成長。2022年8月には丸亀レディースチャンピオンでGⅠ初出場も果たした。