推しメンレーサー パワーのルーツ 08 Mental 精神力 関浩哉×豊田健士郎
0.01秒の差が勝負を分けるボートレースの世界。水上の格闘技と呼ばれる激しいレースに挑むボートレーサーたちの本音に、さまざまな“パワー(力)”の切り口から、ボートレース芸人 永島知洋さんが迫ります。
今回のテーマは「メンタル(精神力)」!
MC
永島 知洋
Profile
プロフィール
関 浩哉
せき ひろや
1994年、群馬県生まれ。群馬支部。115期。2018年、「プレミアムG1ヤングダービー」(多摩川)でG1初制覇。2022年、「開設70周年記念G1 ツッキー王座決定戦」で通算2度目となるG1制覇を遂げた注目のルーキー。
豊田 健士郎
とよだ けんしろう
1996年、三重県生まれ。三重支部。115期。2020年、「プレミアムG1ヤングダービー」(びわこ)にて、G1初勝利。三重支部の期待のルーキーであり、ボートレース業界・若手イケメンレーサーのひとりとしても、注目されている。
ふたりの関係は?
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永島 知洋
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今回のテーマは「メンタル」です。おふたりは同期ということですけども、仲いいんですか?
左上から時計回りに、ボートレース芸人 永島知洋さん、関浩哉選手、豊田健士郎選手
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豊田 健士郎
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仲いいです!
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関 浩哉
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……ですねぇ、仲いいです。
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永島 知洋
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なんすか、その微妙な反応は?(笑)
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関 浩哉
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いや、そういうの恥ずかしくなっちゃうタイプなんで(笑)。
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豊田 健士郎
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よう、言うわ!関ちゃん、猫被ってます!
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永島 知洋
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え、そうなん?
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関 浩哉
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いやぁ、すみません。ちょっと緊張してて、まだ何枚も被ってる感じなんですけど、よろしくお願いします。
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永島 知洋
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いえいえ、こちらこそ(笑)。ちなみに、ふたりが仲良くなった“きっかけ”って、何かあるんですか?
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関 浩哉
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なんでしょうね……。絆って、いつの間にかできてるもんですから。
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豊田 健士郎
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え、関ちゃん、かっけー!
「同期はともに苦しい訓練を乗り越えた仲間。やっぱり特別な“絆”があります」と豊田選手
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永島 知洋
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素敵じゃないですか! おふたりは同じ115期(2014年11月デビュー)ですから、今年で8年目(2022年9月時点)ですか?
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豊田 健士郎
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はい。
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永島 知洋
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関選手が「ヤングダービー」でG1初制覇したのが2018年でしたよね。デビュー5年目というのは、早いですねー。
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関 浩哉
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ありがとうございます。
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永島 知洋
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豊田選手は当時、どんな気持ちだったんですか?
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豊田 健士郎
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関ちゃんが勝ったことへの「うれしさ」もありましたけど、同時に“先を越された”という悔しさもありました。
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永島 知洋
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仲間でありライバルでもある「同期」だからこその感情ですよね。
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関 浩哉
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自分からすると、自分より先にG1を制覇している同期もいたので、「自分にもチャンスはある!」と信じることができた部分はあります。
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永島 知洋
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同期のがんばりというのは、いい影響を与えてくれるんですね。
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関 浩哉
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はい、刺激になりますね。
メンタルは大事?
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永島 知洋
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さて、そんなおふたりに今回、「メンタル(精神力)」について聞いていくわけですけども、個人的には“いちばん大事”なんじゃないかと思うんですけど、実際どうですか?
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豊田 健士郎
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間違いないです。
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関 浩哉
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レース前の「調整」とか、メンタル出やすいんですよね。弱気な気持ちでいると、「攻めた調整」ができなかったりしますし。
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豊田 健士郎
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すごくわかります。リスクを避けて、「無難な調整」をしてしまったりします。
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永島 知洋
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レースの前から、メンタルはレースに影響してるんですね。
ボートレーサーは、モーターやプロペラなどの調整(整備)をすべて自分ひとりで行う
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関 浩哉
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はい。他の方と同じ「調整」をしていても、なかなか勝てないと思うんです。やっぱりそんなに甘くない。多少のリスクを冒してでも、攻めた「調整」をすることで、勝利につながると考えています。
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永島 知洋
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それって、レース前に展開を予想して「調整」するわけですから、簡単なことではないですよね。
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関 浩哉
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実は、以前はいつも無難な調整をしていたんです。そうしたら、あるとき先輩レーサーから「もう少し試して(チャレンジして)みたら?」というアドバイスをいただいて、工夫するようになりました。
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永島 知洋
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無難な調整では駄目なんですか?
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関 浩哉
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うーん、自分の中で「飛び抜けられてない」感覚があって、それは「調整の無難さが原因」かもしれないと思ったから変えた感じですね。
調整への意識を変え、2022年、通算2度目のG1制覇を遂げた関選手
影響を受けた人は?
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永島 知洋
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豊田選手は、誰かの影響を受けてるとかありますか?
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豊田 健士郎
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関ちゃんと話す機会も多いので、関ちゃんの影響は受けてますね。一緒に走ったレースで、僕の想像とはまるで違う「調整」をしていて、エンジンのポテンシャルを最大限に引き出す発想力には驚かされました。
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永島 知洋
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じゃあ、同じ「調整」をすれば、同じ結果になるかというと、そうではないわけですよね?
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豊田 健士郎
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はい。関ちゃんだから、その「調整」で結果が出るのであって、僕には僕に合ったアプローチがあると思っています。先入観を捨てて、常にチャレンジするその姿勢はすごいなと感じています。
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永島 知洋
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関選手の「調整」は、そんなにアグレッシブなんですか?
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豊田 健士郎
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たとえるなら、夏に、冬仕様の「調整」するような感じですかね。思わず「え!?」って、びっくりするようなことを平気でやるんですよ。
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永島 知洋
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へー。
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関 浩哉
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それくらいやらないと、レース勝てないですからね。
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永島 知洋
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攻めているからこそ、ときには「失敗した!」という日もあるわけですよね?
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関 浩哉
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もちろんあります(苦笑)。
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永島 知洋
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日々、試行錯誤してるんですね。
メンタルが大事だと気づいた瞬間は?
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永島 知洋
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おふたりが、「メンタル大事」って、気づいたのはいつですか?
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関 浩哉
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自分は、地元・桐生ボートレース場(群馬)でのレースで、「地元だから絶対勝ちたい!」と思っているのに、気持ちが空回って、ミスをしてしまう時期があったんです。そのときに、どんなときも「平常心」であることが大切なんだと気がつきました。
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豊田 健士郎
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めっちゃわかる。気持ち大事です。憧れの先輩レーサーを前にしても動じない心が必要。勝てるわけないと思って臨んだレースで勝てるわけがないんですよ。だから「勝つのは自分だ」って、常に自分に言い聞かせています。
レース場での豊田選手
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永島 知洋
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実力のあるベテランレーサーは、勝っても負けても同じ。感情を顔に出さないですよね。
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豊田 健士郎
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ボートレーサーとして芯がある証拠ですよね。強い覚悟を持って、自分の感情をコントロールしてるんだと思います。ほかにも、先輩レーサーを見ていて、すごいなと思う瞬間は、たくさんあります。
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永島 知洋
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背中で語るカッコよさが、彼らにはありますよね。
メンタルを保つためにしていることは?
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永島 知洋
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メンタルを保つためにしていることはありますか?
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関 浩哉
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自分は、ゴルフが唯一の趣味なんですけど、すごいリフレッシュになってます。
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豊田 健士郎
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ゴルフもメンタルスポーツですよね。このパター決めたら「100切れる!」と思った瞬間、2メートルのパターを失敗して、膝から崩れ落ちたことがあります(苦笑)。
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永島 知洋
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ほかに、何か意識的にやっていることはありますか?
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関 浩哉
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レース場での過ごし方ですかね。自分の中でルーティンを決めて、レースに臨む。ご飯を食べる時間、歯を磨く時間、決めておくことで心を落ち着かせています。
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永島 知洋
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もしそのルールを守れなかったときは、どうしてるんですか?
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関 浩哉
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僕、根はすごい大雑把なので、「やっちまったなー」って、こうやってやるだけで、切り替えられます(笑)。
ルーティンを守れなくても、「すぐに切り替えられる」と話す関選手
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豊田 健士郎
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それいいやん。最強やん(笑)。
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永島 知洋
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ポジティブな思考が大事なんですね。
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関 浩哉
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ミスしても、自分なりに反省したら終わり。しっかりと向き合ったら、切り替えて前に進むことが大事なんだと思います。極論、死ぬわけじゃない。僕はいつも「よし、次がんばろ!」って、気持ちを切り替えるようにしています。
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永島 知洋
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レースは1年間、続きます。引きずらないことも大切なんですね。
読者に伝えたいメッセージは?
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永島 知洋
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では最後に、おふたりから、この記事を読んでくれている方に、メッセージをお願いします。
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関 浩哉
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ボートレース場では、熱いレースが毎回展開されています。その裏には、レーサーの地道な努力の積み重ねがあります。それを知ってから見ると、より面白く感じれると思います。ぜひ一度、生で見てみてください。
ボートレースは、「水上の格闘技」と呼ばれるほど熱い戦いが繰り広げられる
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豊田 健士郎
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ボートレースは、生で見たら、音も迫力もすごいんです。人生観さえ変わるかもしれません。僕は生で見たレースに衝撃を受けて、ボートレーサーになりました。ぜひ同じ感動を、みなさんにも体験してほしいです!
「ぜひ一度、ボートレース場に足を運んでみてください!」と言って、「メンタル大切ポーズ」をする豊田選手と関選手