推しメンレーサー パワーのルーツ 07 Physical 体力 栗城匠×板橋侑我
0.01秒の差が勝負を分けるボートレースの世界。水上の格闘技と呼ばれる激しいレースに挑むボートレーサーたちの本音に、さまざまな“パワー(力)”の切り口から、ボートレース芸人 永島知洋さんが迫ります。
今回のテーマは「フィジカル(体力)」!
MC
永島 知洋
Profile
プロフィール
栗城 匠
くりき しょう
1995年、東京都生まれ。東京支部。118期。2021年、ボートレース平和島の「G1開設67周年記念トーキョー・ベイ・カップ」でG1初制覇。2022年、トップルーキーに選出。東京支部の注目ルーキー。
板橋 侑我
いたばし ゆうが
1996年、静岡県生まれ。静岡支部。118期。ボートレーサー養成所の「卒業記念レース」で優勝。2021年、「G1浜名湖賞 開設68周年記念」でG1初制覇。2022年、トップルーキー選出。静岡支部の期待のルーキー。
ふたりの関係は?
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永島 知洋
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今回のテーマは「フィジカル」です。おふたりは同期ということですけども、仲いいんですか?
右上から時計回りに、板橋侑我選手、栗城匠選手、ボートレース芸人 永島知洋さん
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栗城 匠
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仲いいです!
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板橋 侑我
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はい、いちばん仲いいです。最近だと、ボートレース江戸川(東京都)で一緒だったんですけど、お互いに刺激し合い、高め合えた一節になりました。一生忘れられないですね、きっと。
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永島 知洋
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へー。何があったんですか?
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板橋 侑我
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僕が一等を取って、そのあとのレースで、栗ちゃん(栗城選手)が不利だと言われる6号艇で一等を取ったんです。その次の日、今度は栗ちゃんが一等を取って、直後のレースで僕が6号艇で一等を取ったんですよ!
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永島 知洋
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同期ふたりで、勝利のバトンを見事にリレーできたわけですね。
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板橋 侑我
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はい!すごくうれしかったです。
ボートレーサーを目指した、きっかけは?
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永島 知洋
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栗城選手は、ボートレーサーになるための養成所の試験を何度も受けているそうですね。
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栗城 匠
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はい。8回受けてます。
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永島 知洋
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ボートレーサー養成所の試験は年に2回ですから、かなり若いときから受けてたわけですか?
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栗城 匠
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初めて受けたのが中学3年生のときで、高校2年生からは毎回(半年ごと)受けてました。
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永島 知洋
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きっかけは、何だったんです
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栗城 匠
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たまたまテレビでボートレーサーの特集を見て、「お金持ちになれる!」と知り、志すようになりました。
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永島 知洋
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合格=夢が叶った瞬間ですから、うれしかったでしょうね。
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栗城 匠
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はい。ようやくスタートラインに立てたと思いました。
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板橋 侑我
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同期ですから、養成所の試験も一緒に受けているんですけど、さすが8回目とあって、ひとりだけ雰囲気が違いましたね。「なんだ?この人、なんかすごい!」って、僕は思ってました(笑)。
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永島 知洋
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場慣れしてるからね(笑)。一方で、板橋選手は試験を一発合格しています。ボートレーサーを目指した、きっかけは何だったんですか?
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板橋 侑我
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僕は小学校の頃はレーシングカート、中学・高校とサッカーをやってたんです。高校3年生のときに、進路を父親に相談した際に、父から「ボートレーサー」をすすめられました。
板橋選手は5歳から小学生まで、レーシングカートをやっていた 画像:本人提供
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永島 知洋
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へー。それで興味を持って?
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板橋 侑我
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そうですね。高校3年生の4月頃には「ボートレーサーになろう」と決めて、試験に向けたトレーニングを始めました。
ボートレーサー養成所の試験で求められるフィジカルとは?
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永島 知洋
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で、養成所の試験に向けて、「フィジカル」を鍛え始めたわけですか?
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板橋 侑我
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はい。ボートをコントロールするためには、握力や背筋力が必要です。僕は握力がなかったので、当時は暇さえあれば、ハンドグリップを握っていました。その甲斐あって、3ヶ月で握力が20キロくらい向上しました。
ハンドグリップを使って、握力を鍛えたと語る板橋選手
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永島 知洋
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栗城選手は、どんなトレーニングをしたんですか?
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栗城 匠
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僕は極真空手とボクシングをやっていたので、体力には自信があったんです。それでもボートレーサーになるべく、合格までの4年間は、毎日さまざまなトレーニングをしていました。
ボートレーサーになってからのフィジカルは?
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永島 知洋
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ボートレーサーになってからはトレーニングの内容も変わりましたか?
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板橋 侑我
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そうですね。プロになって気づいたのは、表面的な筋肉よりも、インナーマッスルの方が重要だということです。
目に見える腕の筋肉などよりも、「インナーマッスルが大事」と語る板橋選手
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永島 知洋
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栗城選手はいかがですか?
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栗城 匠
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自分も一緒ですね。ボートレーサーに必要な筋肉って、ターンマークを全力で回れる筋力、瞬発力や柔軟性なんです。あとは、怪我の予防という観点でも、柔軟性や体幹のトレーニングは大事だなと思います。
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永島 知洋
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やっぱり体幹が大事?
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栗城 匠
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体幹と言っても、奥の体幹。腹をヘコませたところにある筋肉が重要だと思っています。
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永島 知洋
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そこは、どうやって鍛えるんですか?
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栗城 匠
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すごく地味ですよ。勢いを使わずに、こう、ゆっくり腹筋をして鍛えます。
腹筋の奥にあるインナーマッスルの鍛え方を説明する栗城選手
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永島 知洋
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そこを鍛えると、何が変わるんですか?
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栗城 匠
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レース中、いつも全身に力が入ってたんですけど、インナーで体全体を支えられるようになったので、瞬発力が向上した印象がありますね。
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永島 知洋
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板橋選手はどんなトレーニングをしてるんですか?
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板橋 侑我
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僕は、トレーナーさんがメニューを考えてくれていて、バランスボールの上とか、不安定な状態でのスクワットなどをして、バランス力を磨いています。
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永島 知洋
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いまの若手レーサーは、トレーナーを付けている方、多いですよね。
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板橋 侑我
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自分にどれだけ投資できるか。その視点が重要だと思っています。
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永島 知洋
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かっけー!
G1を制覇した気持ちは?
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永島 知洋
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2021年、おふたりとも初のG1制覇を達成しましたけども、どんな気持ちでしたか?
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板橋 侑我
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栗ちゃんが先に制覇したんですけど、「雲の上の人になっちゃった」と思いました。そしたら自分も、そのあとG1を制覇できたんですけど、有利とされる1号艇でしたし、本当に運もよかったなと思います。
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永島 知洋
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栗城選手は、勝った瞬間、すごい泣いてましたよね?
2021年5月、ボートレース平和島の「G1開設67周年記念トーキョー・ベイ・カップ」でG1を初制覇した栗城選手
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栗城 匠
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(苦笑)。緊張してたので、勝てて、ほっとしたら涙が出ちゃいました。一方で、先輩たちはいつもこんな重圧の中で戦っているのかと、あらためて尊敬の気持ちが強くなりました。
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板橋 侑我
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初のG1ということで、僕も栗ちゃんも、たくさんの人に応援してもらいました。みなさんの支えがあったから、勝てたレースだと思っています。
2021年11月、栗城選手に続いて、「G1浜名湖賞 開設68周年記念」でG1を初制覇した板橋選手
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永島 知洋
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G1を制覇して、最上位のレース「SG(スペシャルグレード)」にも出場しました。
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板橋 侑我
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ボートレーサーなら、誰もが「SG」出場を夢に見ています。その夢が叶った喜びは大きかったですね。しかも栗ちゃんと一緒に出場できたというのは、本当に夢のような出来事でした。
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永島 知洋
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SGに出場したことで変わったことはありますか?
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板橋 侑我
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トップレーサーと自分の差を知りました。死にものぐるいで一等を狙いに行く姿勢など、たくさんの学びがありました。
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栗城 匠
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自分も一緒ですね。実力不足を痛感し、すべてを見直そうと思いました。
読者に伝えたいメッセージは?
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永島 知洋
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おふたりの「夢」は何ですか?
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栗城 匠
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やっぱり、レーサーになる前から「グランプリ(賞金王決定戦)を獲る」と言っているので、それが目標です。
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板橋 侑我
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グランプリに出場するレーサーは、元旦から「年末のグランプリに向けて」と話すんです。そういう姿勢がプロフェッショナルだなと思うので、そういうレーサーになりたいですね。
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永島 知洋
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では最後に、おふたりから、この記事を読んでくれている方に、メッセージをお願いします。
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板橋 侑我
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エンジン音と水しぶき、そしてガソリンの匂い。その臨場感に、僕自身も初めて見たときは感動しました。ぜひ、ボートレース場に足を運んでみてください!
生のボートレースは、見た目も音も、迫力満点!
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栗城 匠
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ボートレースは生で見るとすごい迫力があります。自分も映像で見てたときと、ボートレース場では印象がぜんぜん違いました。ぜひ生の迫力を知ってほしいです!
「ボートレース場で待ってます!」と言って、笑顔で手を振る板橋選手と栗城選手