推しメンレーサー パワーのルーツ 04 Humanity 人間力 吉川貴仁×宮之原輝紀
0.01秒の差が勝負を分けるボートレースの世界。水上の格闘技と呼ばれる激しいレースに挑むボートレーサーたちの本音に、さまざまな“パワー”の切り口から、ボートレース芸人 永島知洋さんが迫ります。
今回のテーマは「ヒューマニティ(人間力)」!
MC
永島知洋
Profile
プロフィール
吉川 貴仁
よしかわ たかひと
1993年、三重県生まれ。三重支部。118期。2022年、ルーキーシリーズ第3戦「第7回スカパー!JLC杯」優勝。デビュー当初から旋回力に光るものを見せていた注目のヤングレーサー
宮之原 輝紀
みやのはら こうき
1997年、東京都生まれ。東京支部。118期。ボートレーサー養成所では、同期118期首席の成績。デビュー2カ月で初勝利。2022年、トップルーキーにも選出された逸材として注目を集める、超有望株
ふたりの関係は?
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永島 知洋
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今回のテーマは「ヒューマニティ(人間力)」です。ふたりは同期ですけど、ちょっと年は離れてますよね。仲いいんですか?
左上から時計回りに、ボートレース芸人 永島知洋さん、吉川貴仁選手、宮之原輝紀選手
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吉川 貴仁
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年は4つくらいかな、離れてますね。でも、仲はいいと思います。
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永島 知洋
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第一印象とか、覚えてます?
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吉川 貴仁
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出会ったときの宮之原はまだ10代で、真面目でかわいい少年という印象でした。ただ当時から、本当にボートが好きなんだなというのは、練習への真摯な姿勢などから伝わってきましたね。
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永島 知洋
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ですって、宮之原選手。
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宮之原 輝紀
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自分、養成所では、最年少だったんですよ。だから最初は同期とどう接したらいいのか迷いました。出会ってから半年くらいしてからですかね。少しずつフランクに会話できるようになった気がします。
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吉川 貴仁
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同期とはいえ、年上の方には、やっぱり最初は敬語でしたね。宮之原も最初は僕に対して敬語だったんですけど、成績と比例して徐々に言葉遣いも砕けてきてですね……。
宮之原選手の言葉遣いの変化を思い返す、吉川選手
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永島 知洋
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あー、売れたら変わってしまうタイプや!
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宮之原 輝紀
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違います違います!誤解ですよ!ここ数年は、レースで一緒になることが多くて、それで自然と心の距離が近くなったからですよ!
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永島 知洋
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と、言ってますけど……?
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吉川 貴仁
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そうだと思います(笑)。むしろ、年の差を気にせず、フラットに接してもらえるのは、うれしいですよ。信頼されている証拠だと思いますし。
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永島 知洋
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ブラックな冗談も言い合える。いい関係なんですね。
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吉川 貴仁
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今日の取材も、宮之原が呼んでくれたので、「それなら出よう」と思いましたし、まあ、いい関係かと思います(笑)。
ボートレーサーに「ヒューマニティ」は必要?
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永島 知洋
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そんなおふたりに聞きたいのが、今回のテーマ「ヒューマニティ(人間力)」です。ボートレーサーは、宿舎での生活もありますし、人間力も必要だと思うんですが、実際どうですか?
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宮之原 輝紀
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極論、レーサーに求められるのは結果なので、性格が悪くても成績が良ければいい、という考え方もあるかもしれません。でも、自分はそうは思わないです。レーサーである前に、人としてちゃんとしていたいと思います。
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吉川 貴仁
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僕もそうですね。礼儀だったり、挨拶は大切にしています。
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永島 知洋
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礼儀や挨拶は、誰かに教わるんですか?
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宮之原 輝紀
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自分は中学校まで野球をやっていたので、自然と身についている部分が大きいですね。自分のいる東京支部の先輩たちは優しい方が多いからかもしれないですけど、人間関係で苦労した経験もあまりないです。
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吉川 貴仁
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僕も高校まで野球をやってたので、先輩への気遣いとかは、当たり前にできてる部分があります。しかも寮生活だったので、団体生活に慣れていたことが、養成所でもボートレーサーになってからの宿舎生活でも、活きている気がします。
寮生活を送っていた、高校時代の吉川選手
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永島 知洋
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ボートレーサーは、レース中は全員、同じ宿舎に宿泊しますし、団体生活ですもんね。
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吉川 貴仁
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はい。もしかしたら、初めての団体生活に戸惑う方もいると思うんですけど、僕は経験者ですから、すぐに順応できました(笑)。
ボートレーサーに求められる「気遣い」とは?
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永島 知洋
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宿舎での団体生活で、気をつけていることって、あります?
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宮之原 輝紀
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ボートレーサーは、レースとレースの空き時間に、宿舎で身体を休ませるんですよ。そこで1時間くらい仮眠をとる方もいるので、物音を立てないように静かに移動するとか、そういう気遣いはしてます。
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吉川 貴仁
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わかる!大部屋だったら、部屋の出入りはそっとするとか、しますね。ただ、最初の1年は、どこまで気を遣えばいいかがわからなくて、宿舎にいても気が休まらなかったです(笑)。
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永島 知洋
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じゃあ、若手が集まる「ルーキーシリーズ」とかは、ちょっと肩の力が抜けるみたいなこともあるんですか?
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宮之原 輝紀
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若干、ありますね(笑)。出場するレーサーもみんな年齢が近いので、宿舎の中も、和気あいあいとしてますし。
原則、登録6年未満のレーサーが出場する「ルーキーシリーズ」。2022年の第7戦で、宮之原選手は見事に勝利を収めた
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永島 知洋
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先輩がいないのをいいことに、みんなではしゃいでるわけですか?(笑)
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吉川 貴仁
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先輩が嫌いとかじゃないんですけど、同世代だけで集まると、やっぱり会話も盛り上がりますよね(笑)。
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永島 知洋
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でも、レースとなれば、同世代も先輩も関係ないわけでしょ?
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吉川 貴仁
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もちろんです。相手が先輩だからとか、仲のいい同期だからとか、関係ないです。応援してくれる方がいる以上、そんなことを気にしていたら、失礼だなと思います。
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宮之原 輝紀
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自分も一緒です。とにかく全力を尽くす。それが観客の方に対しても、一緒に走るレーサーに対しても、最低限の礼儀だと思っています。
モチベーション維持の方法は?
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永島 知洋
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人間力って、モチベーションの維持にも必要なチカラだと思うんですけど、どう思いますか?
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吉川 貴仁
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モチベーションを保つためには、気分転換も大切だと思います。人間力に直結はしないかもしれないですけど、コロナ前はよく、旅行に行ってましたね。
旅行先の屋久島で気分転換する吉川選手
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宮之原 輝紀
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ボートレーサーって、常に勝ち負けにさらされるので、気持ちが揺らぎやすい職業だと思うんです。いつもフラットでいるために、気分転換は大切だと自分も思います。
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永島 知洋
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負けることもあるからこそ、勝てたときはうれしいわけですもんね。
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吉川 貴仁
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そうですね。やっぱり1着を獲れたときは、すごいうれしいんですよ。さらに優勝となると、ウイニングランがあるので、観客の方が自分だけに手を振ってくれる。初めて体験したときは、本当にゾクゾクしました。あれは、普段のレースとはまた違った喜びというか、感動がありますね。
優勝し、ファンの声援に応える吉川選手
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宮之原 輝紀
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自分がうれしくなるのは、自分の中で納得した勝ち方ができたときですね。ボートレースはインコースが有利だと言われるので、アウトコースからスタートしたレースで勝ったときは、自分の考えた戦略がハマった証でもあるので、すごくうれしいです。
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永島 知洋
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アウトコースから、まくって1着とか、観てる方も「おおー!」ってなりますよ!
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宮之原 輝紀
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それが伝わってくるから、余計うれしくなるのかもしれないですね。
負けを引きずらないための「人間力」とは?
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永島 知洋
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勝利の喜びが大きいからこそ、負けたときの悔しさは大きいですよね。
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宮之原 輝紀
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そうですね。だからと言って、負けを引きずっていては、次のレースにも影響が出てしまいます。負けたときは、気にしつつ、気にしないようにする“心のバランス感覚”も、ボートレーサーには必要だと思います。
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永島 知洋
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負けたレースから、学ぶこともありますもんね。
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宮之原 輝紀
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はい。それも、心のどこかで、「負ける準備」をしておかないと、落ち込むだけになってしまう気がします。
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永島 知洋
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なるほど。ちなみに宮之原選手は、負けを引きずるタイプですか?
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宮之原 輝紀
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いえ、寝て起きたら忘れます(笑)。
リラックスした様子でインタビューに答える宮之原選手
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永島 知洋
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寝ればいいんかい!吉川選手はどうですか?
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吉川 貴仁
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ボートレースは6艇で勝負して、勝利するのは1艇だけ。「負け」との向き合い方は、すごく大事だと僕も思います。負けたら悔しいですけど、逃げずにどれだけ真摯に向き合えるか。僕は整備やプロペラの調整など、とにかく常に自分の全力を出してレースに臨む。いまの100%で走った結果と真剣に毎回向き合う、ということを繰り返してます。
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永島 知洋
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負けたときに、原因から目を逸らしたら駄目なんですね。
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吉川 貴仁
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そうだと思います。あとは、勝ち負けではなく、自分と常に向き合うことで、心の安定にもつながる気がしています。
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永島 知洋
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勝ったあとよりも、負けたあとが大事。深いわ!
読者に伝えたいメッセージは?
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永島 知洋
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「人間力」をテーマにお話を聞いてきましたけども、おふたりは将来、どんなレーサーになりたいとかありますか?
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宮之原 輝紀
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人としても、選手としても「一流」と呼ばれるレーサーになりたいです。
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吉川 貴仁
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僕は優しい人ですかね。分け隔てなく誰とでもフラットに接することができる、思いやりのある人になりたいです。
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永島 知洋
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素敵です。では最後に、そんなおふたりから、この記事を読んでくれている方に、メッセージをお願いします。
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宮之原 輝紀
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ボートレースは1周600メートルを3周して、6人で順位を競います。派手な水しぶきや、ターンの攻防は見応えがありますし、カップルでも家族でも楽しめる競技だと思います。ぜひ生の迫力を、ボートレース場で体感してください!
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吉川 貴仁
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僕は大人になるまで、ボートレースを見たことがありませんでした。社会人になって初めてボートレース場で生のレースを見て、その迫力に感動してレーサーになりました。心を動かす体験がそこにあります。ぜひ生でレースを観戦してみてください!
「ボートレース場でお待ちしてます!」と言って、手を振る吉川選手と宮之原選手